イースターって
■キリストの復活を記念する日
イースターは「復活祭」とも呼ばれる、キリスト教の典礼歴における最も重要な祝日です。
十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが死後3日目に復活した奇跡を記念しています。
イースターは主に英語圏での呼び名です。「イースター」の呼び名は、ゲルマン神話の春の女神「エオストレ」やゲルマン人が用いた春の月名「エオストレモナト」に由来しているといわれています。本来はゲルマン民族の春の祭りでしたが、キリスト教布教の際に意味を変えて普及したといわれています。
草木が芽吹き、動物が繁殖する春へと季節が変わる様子が、十字架で処刑された後に復活したキリストのイメージに重なったのではと見られています。
復活祭はドイツでは「オースタン」、フランス語では「パスク」、ギリシャ正教会、ロシア正教会では「パスハ」と呼ばれています。
「パスハ」は言葉の元をたどるとユダヤ教の「過越(すぎこし)の祭り」をあらわす「ペサハ」というヘブライ語から来ています。
キリストの最後の晩餐は、この「過越の祭り」を祝うものです。
■キリストの死と復活
イエス・キリストは弟子の一人であるユダに裏切られ、反逆者としてローマ帝国に引き渡された後、磔刑に処せられました。キリストの遺体は死を看取ったマグダラのマリア、小ヤコブとヨセフの母マリア、キリストの母マリアの姉妹サロメの3人の女性が引き取って埋葬しました。
キリストは13日の金曜日に処刑されました。その翌々日の日曜日、墓を訪れた3人は中が空っぽになっているのを発見します。そこに白衣をまとった若者があらわれ、キリストの復活を告げられます。
キリストはそれからマグダラのマリアを筆頭に多くの弟子たちの前に次々とあらわれ、自分の考えを伝えた後に昇天しました。
イースターっていつ?
■毎年日付が変わる移動祝日
イースターは基本的に「春分のあとの最初の満月の次の日曜日」と定められています。つまり、年によって日付がかわるのです。
グレゴリオ暦を用いる西方教会では、復活祭は3月22日〜4月25日のいずれかの日曜日、ユリウス暦を用いる東方教会では、グレゴリオ暦の4月4日〜5月8日の間のいずれかの日曜日に祝われます。
【イースターの日付】
西方教会 東方教会
2012年 4月8日 4月15日
2013年 3月31日 5月5日
2014年 4月20日 4月20日
2015年 4月5日 4月12日
2016年 3月27日 5月1日
2017年 4月16日 4月16日
2018年 4月1日 4月8日
2019年 4月21日 4月28日
2020年 4月12日 4月19日
■イースターの日付は2世紀から論争に
もともと復活祭はユダヤ教の過越の祭りと同じ日に祝われていたと考えられていますが、キリスト教がユダヤ教から離れて各地に広まっていくなかで、復活祭の日付の論争が起きるようになりました。これを「パスカ論争」といいます。
4世紀、東方の教会はアレクサンドリアの教会の習慣である「(太陽暦の)3月31日以降で最も早い(太陰暦の)14日の次の日曜日」を採用します。これが中世になって「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」という表現に変化しました。
一方、西方のローマ教会は6世紀までは独自の方法で算出していましたが、アレクサンドリア教会の手法をローマの暦に適応させる方法が編み出され、日付の決め方が定まりました。