イースターの歴史

イースターの歴史


■復活祭の前に40日の四旬節(しじゅんせつ)
カトリック教会などの西方教会では、復活祭の前に日曜日を除く40日間の四旬節を設けます。正教会では「大斎(おおものいみ)」、聖公会では「大斎(たいさい)節」と呼ばれています。四旬節に入る前には「謝肉祭(カーニバル)」という祝宴が行われます。

 

四旬節はキリストの苦しみを分かち合うという意味があり、伝統的に節制を行う習慣があります。主に祈り、断食、慈善を通じた償いの業が奨励されています。

 

四旬節には特別な日がいくつかあります。四旬節の初日に当たる灰の水曜日は、カトリック教会で「レタレ」と呼ばれています。復活祭前の日曜日は「受難の主日」、「枝の主日」と呼ばれており。この日から聖週間がスタートします。

 

聖週間の木曜日は「聖木曜日」「洗足木曜日」と呼ばれ、最後の晩餐を記念します。翌日の金曜日は「聖金曜日」と呼ばれ、イエスの受難に思いをはせる日になっています。その翌日の土曜日は「聖土曜日」と呼ばれ、深夜に「復活徹夜際」が行われて、四旬節が終わり、復活祭を迎えます。

 

カトリック教会をはじめとする多くのキリスト教会では、復活祭前の木曜〜土曜日の3日間は「聖なる3日間」として特別に扱っています。

 


 

■復活祭の食事
復活祭前の四旬節は食事の節制が行われることが多く、基本的に肉、乳製品、東方教会では魚を食べることを禁じています。ただ、現代の西方教会では形式的なものと考え、自分が好きな食べ物や娯楽を自粛する、節制の代わりに慈善活動を行うといったことが行われているようです。

 

伝統的な復活祭では、西方教会も東方教会も正餐の食卓には、禁じられていた動物性食品が並びます。また、卵やバター、ミルクなどをたっぷり使った復活祭独特の菓子パンやケーキが作られます。

 

 


 
 


■イースターの象徴は「卵」と「うさぎ」

 

イースターの語源になった春の女神エオストレは、多産の象徴である野うさぎをお供に連れていることから、イースターにはうさぎのキャラクターがあちこちで見られます。クリスマスにはサンタクロースがいるように、復活祭にはイースターバニーがいるのです。

 

同じく命の象徴である卵もカラフルに装飾した「イースターエッグ」として、復活祭には欠かせないシンボルになっています。


 


■イースターエッグの誕生秘話

昔むかし、子ども好きのおばあさんが、ある年のイースターに色とりどりに塗った卵を庭に隠し、子どもたちに見つけさせるゲームをしました。ちょうど卵のある場所に野うさぎがいるのを見た子どもたちは、「うさぎが卵を配っている」と大喜びだったとか。

 

そのほかにも、うさぎが女神エオストレに春らしい色に塗った卵を贈ったところ、女神がとても喜んでみんなにも配るように命じたという説、イースター前夜にいい子のところにうさぎが卵をプレゼントしてくれるという伝説があります。

 

中世社会ではイースターが始まるまでの9週間は、野鳥の卵をとることが禁じられていました。

 

人々はイースターを迎えると、いっせいに野に出て野鳥の卵をとってきて食べたといわれており、この風習がさまざまな物語や伝説と結びついて、イースターエッグの起こりになったのではないかと思われます。